(抱きしめる腕さえも、君はオレじゃだめだというんだね)

「葉くん?」
「────あれ、じゃん」
「どうしたの、こんなとこで」
「少佐のおつかい」
「あはは、お疲れさま。葉くん、今暇?」
「え? ああ、まあ買うもん買ったから暇だけど」
「じゃあちょっとお茶しようよ。わたしも任務終わって暇なの」
「任務終わったなら帰ればいいじゃん」
「えー、葉くん、お茶するのいや?」
「・・・・・・いや、別にいいけど」
「やった! そこのお店、値段の割においしいんだ」
「・・・さあ」
「ん?」
「いつまで、こんなことしてんの」
「・・・こんなことって?」
「オレたちと仲良くしたり、あいつのそばにいたり、なんかそう言うの」
「葉くんたちとは、できればずっと仲良しでいたいなあ」
、バベルの特務エスパーだろ?」
「でも、葉くんたちは大切な友達だよ」
「でも、少佐を殺せって言われたら殺すんだ?」
「────そうだね、それが私の矜持だから」
「任務を全うして、あんなヤツに認められる存在でいることがかよ」
「・・・葉くん、機嫌悪い?」
「なんで、は言わねーんだよ。言ったら変わるかもしれないだろ」
「・・・・・・言っても、多分あの人は変わらないと思うから」
「なのに、なんで諦めちゃわないんだよ」
「・・・諦めたく、ないから」
「じゃあ、オレが今に好きだって言ったら、は諦めたくなる?」
「葉、くん・・・」
「あいつなんかやめてオレにしとけって言ったら、はオレを見てくれるのか?」
「・・・・・・・・・ごめん。たとえ振り向いてもらえなくても、あの人は私の世界のすべてなの」
「────、、」
「葉くんがわたしを好きだと言ってくれたのは震えるほどうれしいよ。でも、私がほしいのはあの人の隣なの・・・っ」
「・・・・・・ごめん、ごめん。だから泣くなよ」
「謝るのはわたしの方だよ。・・・お茶、また今度行こうね」
「・・・うん・・・・・・」
「ごめんね、葉くん・・・っ」
「────っ」

09/10/19

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