Calling, Calling, Calling...


「・・・・・・あ、もしもしトリくん? うん。え? やだなあ、わたしがそんなことするわけないでしょ? 今休憩時間なの。トリくんは? あらら、それはごめんね。・・・え? そうなの? ははは、問題児は大変だわあ。ん、ごめんごめん。・・・・・・うん、ああ、聞いたんだ。不二子さんから? そっか。そうだよ。それで間違いない。もう限界だったしね。ん? うん。そう。
 あそこまではさ、一方通行だから耐えられたって言うのもあるんだよ。6年・・・7年か。でも、なんかさ、あの何週間か前に私自主休暇もらって3日ほど寝たじゃない? その後からかな、なーんか対応が変わってきて・・・・・・あ、そうそう。正解。ちょっと家にいたくなかったの。正確には顔を合わせたくなかったってのと、自分を限界まで痛めつけたい気分だったの。これは言ったかも。あ、言ってた? そうそう。ふん? あははごめんね。でさ、それで逃げてたんだけど、向こうもなんかじりじり追ってくる感じがしたわけ。・・・そう。向き合うわけでもなくね。で、腹が立ったのと、なんか疲れたのとで、もういっそ旅行にでも行こうかと思ってたら長期任務が来てね。・・・・・・え? あ、そうなの? じゃ、やめといてよかったね。ごめんごめん。トリくんには迷惑かけっぱなしだなあ。・・・やだなあ何言ってんですか、もう感謝してもし足りないくらいで・・・・・・ははは!
 今何日? あー、そっか・・・・・・ん、いや、もうすぐ半年だなあと・・・。や、べつに。わたしは慣れてるし。向こうはもだえ苦しんでいればいいと思うけどね! 知ってる! 言っちゃ悪いけどさ、あの人、歩く生殖器って言っても過言じゃないでしょ? え、いやゴメン。事実だし・・・ハイ。すんませんでした。じゃなくてさ、うん。そういうこと。堪え性がないって言うの? そうそう。だから、ちょっとはわたしの苦しみを味わえばいいと思っただけ。ふふ、でしょう。知ってる。じゃなきゃ諜報なんてできないよ。バベルの恥部ではあるけどね。うん。
 え? うーん、もうあんまり覚えてないんだけど・・・。あ、いやいや。単に記憶力の問題。もう、トリくんはそう言うとこ気遣い屋さんだから貧乏クジ引くんだよ。わかってる? んー? ・・・ふふ、そうそう。わたしね、うん。いっときトリくんのこと好きになろうとした時期がね・・・。あの人をもう忘れようとか・・・思って・・・うん。あー、だから一時不二子さんが・・・ え、・・・キャー! 不二子さん若い! トリくん大変! いや、トリくん若いしね、え? だってわたしと年近いでしょ。だから担当になったんじゃん? ははは、ご愁傷さま。
 ・・・いや、知らないと思うよ? これプライベート用だし。なんで教えなきゃいけないの? 仕事用で十分でしょ。えーと、トリくんとー、不二子さんとー、朧さんとー、ナオミちゃんとー、フェイスの二人とー、京介さんとー、紅葉さんとー、葉くんとー、・・・・・・十分だよ。教えないでよ? 絶対面倒だから。トリくんも頑張って☆ あ、ごめん、うそ、いや、ごめんって。教えないで教えないでお願いだから。ね。
 ────・・・・・・。うん、わかってる。帰ったらね、うん。ん。大丈夫だよ。あ、じゃあそろそろ休憩終わるから。うん。お疲れ。じゃあね。不二子さんによろしく。・・・賢木さんにも。頑張ってね。うん。じゃ」





さん? なんだ、こんなところにいたの。電話?」
「────ええ、実家の母に」

10/01/29

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